雷のさずけもの(一の三)
といいました。
するとお百姓はしばらく考えていましたが、
「さあ、何かほしい物といったところで、このとおり体は丈夫で、毎日三度のごぜんを食べて、働いていれば、何も不足なことはないが、ただ一つ六十になって、いまだに子供が一人もない。これだけはいつも不足に思っている。」
といいますと、
「じゃあさっそく子供を一人さずけて上げましょう。そのうちお前さんのおかみさんにふしぎな強い子が生まれるでしょうから、それはわたしがおくってあげたのだと思って下さい。その代わり一つお願いがあります。どうぞくすのきで舟をこしらえて、水をいっぱい入れて、その中にささの葉を浮かべて下さい。」
といいました。
「何だ、そのくらいなことわけはない。その代わりきっと子供を頼みますよ。」
といって、お百姓はさっそくくすのきをくりぬいて、舟をこしらえ、その中に水をいっぱいためて、ささの葉を浮かべました。 雷はその舟に乗って、またすうっと空の上へ上がって行ってしまいました。
