和尚さんと小僧(二の三)
「お隣のおばあさんが、お重箱を持って来ました。おひがんだから和尚さんに上げて下さいといいました。」
と、小僧は答えました。
「その重箱はどこにある。」
「本堂の御本尊さまの前に上げて置きました。」
「うん、それはなかなか気が利いている。どれ、どれ。」
といいながら、和尚さんは本堂へ行ってみますと、なるほど重箱がうやうやしく、御本尊の前に上がっていましたが、あけてみると、中はきれいにからになっていました。
「これこれ、小僧。きさまが食べたのだな。」
と、和尚さんは大きな声でどなりつけました。 すると小僧はすまして、のこのこやって来て、
「へええ、とんでもない、そんなことがあるものですか。」
といいながら、そこらをきょろきょろ見まわして、
「ああ、わかりました。御本尊の金仏さまが上がったのです。ほら、あのとおりお口のはたに、あんこがいっぱいついています。」
と、こういうと、和尚さんはそれを見て、
「なるほどあんこがついている。お行儀のわるい金仏さまもあればあったものだ。」
