瘤とり(二の二)
やがてみんなはゆうべのように木のうろの前に座って、にぎやかなお酒盛りをはじめました。
その時おかしらの鬼が、「どうした。ゆうべのじいさんはまだ来ないか。」といいました。
「どうした、じじい、早く出てこい。」手下の鬼どももわいわいいいました。
お隣のおじいさんは、それを聞いて、「ここだ。」と思って、こわごわうろの中からはい出しました。
するとひとりの鬼が目ばやく見つけて、「やあ、来ました、来ました。」といいました。
おかしらは大よろこびで、「おお、よく来た。さあ、こっちへ出て、踊れ、踊れ。」と声をかけました。
おじいさんは、おっかなびっくり立ち上がって、見るからぶきような手つきをして、でたらめな踊りを踊りました。 おかしらの鬼はふきげんな顔をして、「今日の踊りは何だ。まるでまずくって見ていられない。もういい。帰れ、帰れ。おい、じじいに、ゆうべのあずかりものを返してやれ。」とかんしゃく声でいいました。
すると下座の方から若い鬼が、あずかっていた瘤を持って出て、「それ、返すぞ。」とわめきながら、瘤のない右のほおへぽんとたたきつけました。
お隣のおじいさんは、「あっ。」とさけびましたが、もう追っつきませんでした。 両方のほおへ二つ瘤をぶら下げて、おいおい泣きながら、山を下って行きました。
