瘤とり(二の一)
さてこのお隣のうちにも、これは左のほおに、やはり同じような瘤のあるおじいさんがありました。 おじいさんの瘤のいつの間にか無くなったのを見て、ふしぎそうに、「おじいさん、おじいさん、あなたの瘤はどこへいきました。だれか上手なお医者さまに切ってもらったのですか。どこだかそのお医者さまのうちを教えて下さい。わたしも行って取ってもらいましょう。」とうらやましそうにたずねました。
おじいさんは、「なあに、これはお医者さまに切ってもらったのではありません。ゆうべ山の中で鬼が取っていったのです。」といいました。
するとお隣のおじいさんはひざを乗り出して、「それはいったいどういうわけです。」と、びっくりした顔をしました。
そこでおじいさんは、こういうわけで踊りを踊ったら、後でしちに取られたのだといって、くわしい話をしました。 お隣のおじいさんは、「いいことを聞いた。ではわたしもさっそく行って踊りを踊りましょう。おじいさん、その鬼の来る所がどこだか、教えておくんなさい。」といいました。
「ああ、いいとも。」とおじいさんはいって、くわしく道を教えてやりました。
おじいさんは大そうよろこんで、あたふた山へ出ていきました。 そして教わった木のうろの中へ入って、こわごわ鬼の来るのを待っていました。 なるほど、話に聞いたとおり、夜中になると、何十人となく青い着物を着た赤鬼や、赤い着物を着た黒鬼が、貂の目のようにきらきら光る明かりをつけて、がやがやいいながら出てきました。
