よだかの星(八)
それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。 その声はまるで鷹でした。 野原や林にねむっていたほかのとりは、みんな目をさまして、ぶるぶるふるえながら、いぶかしそうにほしぞらを見あげました。
夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。 もう山焼けの火はたばこの吸殻のくらいにしか見えません。 よだかはのぼってのぼって行きました。
寒さにいきはむねに白く凍りました。 空気がうすくなった為に、はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。
それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変りません。 つくいきはふいごのようです。 寒さや霜がまるで剣のようによだかを刺しました。 よだかははねがすっかりしびれてしまいました。 そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。 そうです。これがよだかの最後でした。 もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。 ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居りました。
それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。 そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
すぐとなりは、カシオピア座でした。 天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。
そしてよだかの星は燃えつづけました。 いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。
