夢占(二の一)
ある日めずらしく牡鹿は夢野の牝鹿の所へ来て、一日遊び暮らしていました。 そしてそのあくる朝帰ろうとする時、ふと悲しそうな、心配そうな目をして、ため息を一つつきました。 牝鹿はふしぎに思って、
「あなた、どうかなさいましたか。 大そう顔色が悪いようですね。」
とたずねました。
牡鹿は、
「なあに何でもないよ。」
といって、強く首を振りました。
「いいえ、ため息をおつきになったりなんかして、きっと何か御心配なことがあるのでしょう。 わけを話して下さいまし。」
と牝鹿がしつっこくせめました。 そこで牡鹿もしかたなしに、
「じつはゆうべ、いやな夢を見てね。」
といいました。
「それはどんな夢。」
「何でもわたしが野の中を歩いていると、いつの間にか頭の上に草が生えて、背中には雪が積もった。 どうしたのかと思って、気持ちが悪いから、雪を払おうとすると、夢が覚めた。 いったい何の知らせだろうか。 気になってしかたがない。」
といいました。
