かちかち山(三)
そのあくる日、うさぎはおみその中に唐がらしをすり込んでこうやくをこしらえて、それを持ってたぬきのところへお見舞いにやって来ました。たぬきは背中中大やけどをして、うんうんうなりながら、まっくらな穴の中にころがっていました。
「たぬきさん、たぬきさん。ほんとうにきのうはひどい目にあったねえ。」
「ああ、ほんとうにひどい目にあったよ。この大やけどはどうしたらなおるだろう。」
「うん、それでね、あんまり気の毒だから、わたしがやけどにいちばん利くこうやくをこしらえて持って来たのだよ。」
「そうかい。それはありがたいな。さっそくぬってもらおう。」
こういってたぬきが火ぶくれになって、赤肌にただれている背中を出しますと、うさぎはその上に唐がらしみそをところかまわずこてこてぬりつけました。すると背中はまた火がついたようにあつくなって、
「いたい、いたい。」
と言いながら、たぬきは穴の中をころげまわっていました。うさぎはその様子を見てにこにこしながら、
「なあにたぬきさん、ぴりぴりするのははじめのうちだけだよ。じきになおるから、少しの間がまんおし。」
と言って帰っていきました。
