金の輪(二の一)
輪をまわして行く少年のすがたは、やがて白い道の方に消えてしまいました。 けれど、太郎はいつまでも立って、そのゆくえを見まもっていました。
太郎は、「だれだろう。」と、その少年のことを考えました。 いつこの村へこしてきたのだろう? それとも遠い町の方から、遊びにきたのだろうかと思いました。
あくる日の午後、太郎はまた畑の中に出てみました。 すると、ちょうどきのうとおなじ時刻に輪の鳴る音がきこえてきました。 太郎はかなたの往来を見ますと、少年が二つの輪をまわして、走ってきました。 その輪は金色にかがやいて見えました。 少年はその往来をすぎるときに、こちらをむいて、きのうよりもいっそうなつかしげに、ほおえんだのであります。 そして、なにかいいたげなようすをして、ちょっとくびをかしげましたが、ついそのまま行ってしまいました。
太郎は畑の中に立って、しょんぼりとして、少年のゆくえを見おくりました。 いつしかそのすがたは、白い道のかなたに消えてしまったのです。 けれど、いつまでもその少年の白い顔と、微笑とが太郎の目にのこっていて、とれませんでした。
