払っているのは時間の代金
駅の近くで、「漫画喫茶」と書かれた看板をよく見かける。 名前だけ見ると、漫画を読みながらコーヒーを飲む店のようだが、それだけではない。
まず、店に入ると、受付でコースを選ぶ。 三十分、一時間、三時間……。 払うのは、本の代金ではなくて、時間の代金だ。 中の漫画は、何冊読んでも値段は同じで、三万冊以上ある店も珍しくない。
席には二つの種類がある。 オープン席と個室だ。 個室には、低いソファーか、平らな床がある。 ドアを閉めれば、外から見えない。 パソコンも使えるので、そこで仕事をしている人もいる。
飲み物は、ほとんどの店でソフトドリンクが飲み放題だ。 自分でカップを持って、入れに行く。 アイスクリームやスープが置いてある店もある。
夜の利用の話もしておきたい。 多くの店には「ナイトパック」があって、夜十一時から朝五時まで、千五百円ぐらいで利用できる。 ホテルよりずっと安いので、終電に乗り遅れた人が、宿泊のかわりに使っている。 シャワーがある店も増えた。
つまり、漫画喫茶で買っているのは漫画ではなく、時間と、閉められるドアだ。 だから、六時間いて、漫画を一冊も読まないお客さんも珍しくない。
