東口に三人
陸は駅の東口に立っていた。 人がたくさんいた。 電話が鳴った。
「ごめん、二十分遅れる」と咲茉が言った。 「先に父を見つけて。」
「会ったことないよ。」
「背が高い。身長は百八十くらい。髪は短い。眼鏡をかけている。ひげがある。見た目は普通のおじさん。」
陸は前を見た。 「背が高くて、髪が短くて、眼鏡で、ひげ……三人いる。」
「三人?細い人だよ。太くない。」
「三人とも細い。」
「じゃあ、茶色のかばんを持ってる。」
「三人とも茶色。」
「……私に似てる。」
「咲茉に似ている人は、いない。」
咲茉は少し黙った。 「あ。ひげ、去年やめた。」
陸はもう一度見た。 ひげのない人が一人いた。 その人は陸を見て、手を上げた。
「見つけた」と陸は言った。
