校長は、こう長い
だいきは、来週の新入生歓迎会で一発ギャグをやることになった。 体育館に二百人が集まる。 放課後の教室で、だいきはこうきを椅子に座らせ、一つ目を聞かせた。
「布団が吹っ飛んだ」
「古い」とこうきは言った。 「うちの父さんが言ってた」
「じゃあ、これ。アルミ缶の上にあるみかん」
「それも父さん」
「お前の父さん、強いな」
「うちの父さん、ダジャレしか言わないから」
だいきはノートを開いて見せた。 三十個ぐらい並んでいる。 こうきは上から順に読んで、だんだん無表情になっていった。
「全部どこかで聞いたやつだよ。しかも一個ずつが長い」
「あと三日しかないんだよ」
「三日あっても、その調子だと無理じゃない」
「そこをなんとか」
「なんとかって言われてもさ」とこうきはノートを閉じた。 「だいたい、なんでそんなに長いんだよ。校長先生の話みたいだ」
だいきの手が止まった。 ノートを開き直して、ペンを構える。
「もう一回、言って」
「え、校長先生の話みたいに長いって……」
「校長は、こう長い」
教室が静かになった。 こうきは自分が言ったことを頭の中でもう一度なぞって、うわ、と声を出した。
「それ、僕が言ったことにするなよ」
「するよ。当日、名前も出す」
「やめて」
