花咲かじじい(四)
「おばあさん、白のまつの木が、灰になってしまったよ」こういっておじいさんは、お庭のすみの白のお墓のところまで、灰をかかえて行ってまきますと、どこからか、すうすうあたたかい風が吹いてきて、ぱっと、灰をお庭いっぱいに吹きちらしました。 するとどうでしょう、そこらに枯れ木のまま立っていたうめの木や、さくらの木が、灰をかぶると、みるみるそれが花になって、よそはまだ冬のさなかなのに、おじいさんのお庭ばかりは、すっかり春げしきになってしまいました。
おじいさんは、手をたたいてよろこびました。
「これはおもしろい。ついでに、いっそ、ほうぼうの木に花を咲かせてやりましょう」
そこで、おじいさんは、ざるにのこった灰をかかえて、「花咲かじじい、花咲かじじい、日本一の花咲かじじい、枯れ木に花を咲かせましょう」と、往来をよんであるきました。
すると、むこうから殿さまが、馬にのって、おおぜい家来をつれて、狩から帰ってきました。
殿さまは、おじいさんをよんで、「ほう、めずらしいじじいだ。ではそこのさくらの枯れ木に、花を咲かせて見せよ」といいつけました。
おじいさんは、さっそくざるをかかえて、さくらの木に上がって、「金のさくら、さらさら。銀のさくら、さらさら」といいながら、灰をつかんでふりまきますと、みるみる花が咲き出して、やがていちめん、さくらの花ざかりになりました。
