長い名(二)
兄弟はだんだん大きくなって、よくけんかをしました。 すると弟はにいさんにさんざん悪いいたずらをしては、逃げて行って、遠くの方でまだからかっていました。
「ちょんきな、ちょんきな、ちょんちょん、きなきな。」
こういわれると、ちょんさんはくやしがって、負けずに弟の名前を呼んで、からかい返してやろうとしましたが、「ちょうにん、ちょうにん、ちょうじゅうろう、まんまる入道、ひら入道、せいたか入道、へいがのこ、いっちょうぎりの、ちょうぎりの。」と早口にやっているうちに、舌がもつれて、かんしゃくばかり起こってきました。
その間に弟の方はどこかへ逃げて行ってしまいました。
ちょんさんのおとうさんはまた、ちょんさん、ちょんさんと、にいさんの方が名前が呼びいいので、何かにつけて、「これをしろ、ちょんさん。あれをしろ、ちょんさん。」と、ちょんさんばかりひどく使いました。
いたずらをしても、「これ、ちょんさん、ここへ来い。ごつん。」とすぐやられますが、弟の方は、「まんまる入道、ひら入道、せいたか入道、へいがのこ、いっちょうぎりの、ちょうぎりの。」をやっているうちに、くたびれてしまって、おとうさんも小言をいうのが、めんどうくさくなりました。
おかあさんは、「やはりあの子に長い名をつけて、いいことをした。」と思いました。
