免許証を保つための半日
免許証には有効期限が印刷されている。 その日を過ぎてしまえば、車を運転することはできない。 一度取れば一生使えるものではなく、決められた時期ごとに手続きをして、はじめて使える状態が保たれる。
期限が近づくと、住所として登録されている場所に、案内のはがきが送られてくる。 引っ越したときに住所の変更を届け出るのも、車に乗る人の仕事の一つである。 届け出をしないまま数年が過ぎ、はがきが届かなかったので期限に気づかなかった、という話は珍しくない。 個人の記録と、実際に住んでいる場所が合っていなければ、案内はどこにも届かないからである。
次の手続きまでの間隔は、全ての人に共通ではない。 事故や違反の記録によって変わり、受ける講習の長さも同じではない。 会場も曜日も、都道府県によって違う。 近くの警察署で済む地域もあれば、大きな試験場まで行かなければならない地域もある。 混んだ会場では、一日に何百人分もの手続きが処理される。 半日仕事になることも多く、面倒な出費でもある。
会場に到着すると、順番に写真を撮られ、目の検査を受ける。 それから講習の部屋に入る。 話の中心はいつも同じで、歩行者をどう保護するかということだ。 横断歩道の手前で止まること、交差点を曲がるときに自転車を見落とさないこと、児童が歩く時間帯に速度を落とすこと。 駐車場から道路に出る場面の映像も、たいてい加わっている。
運転しない日にも、免許証は財布の中にある。 身分を証明するものとして使用され、契約のときには写しを求められることがある。 運転をやめた人が更新に来ることも珍しくない。
講習が終わって外に出ると、多くの人は内容をほとんど覚えていない。 それでも一つだけ残る映像がある。 横断歩道の手前で、傘を傾けて立っている歩行者を、車が待っている場面である。
