蟹のしょうばい(一)
蟹がいろいろ考えたあげく、とこやをはじめました。 蟹の考えとしてはおおできでありました。
ところで、蟹は、「とこやというしょうばいは、たいへんひまなものだな。」と思いました。 と申しますのは、ひとりもお客さんがこないからであります。
そこで、蟹のとこやさんは、はさみをもって海っぱたにやっていきました。 そこにはたこがひるねをしていました。
「もしもし、たこさん。」と蟹はよびかけました。
たこはめをさまして、「なんだ。」といいました。
「とこやですが、ごようはありませんか。」
「よくごらんよ。わたしの頭に毛があるかどうか。」
蟹はたこの頭をよくみました。 なるほど毛はひとすじもなく、つるんこでありました。 いくら蟹がじょうずなとこやでも、毛のない頭をかることはできません。
