自分には使えません
田中:ブラウンさん、おはようございます。今日からよろしくお願いします。困ったことがあったら、何でも聞いてくださいね。
ブラウン:ありがとうございます。私はブラウンと申される者です。
田中:あ、その「申される」は、ちょっと違いますね。自分のことは「申します」でいいんですよ。「申される」だと、相手を高くすることばになっちゃうので。
ブラウン:なるほど、難しいですね。日本語の敬語は、本当に複雑です。
田中:みんな最初はそうですよ。少しずつ覚えれば、大丈夫です。
ブラウン:あの、あちらにいらっしゃる男性は、どなたですか。
田中:ああ、あの人は、営業部の先輩ですよ。今の「いらっしゃる」、完璧でしたね。
ブラウン:やった。田中さんに優しく教えていただいて、助かります。
田中:あとで、部長にも紹介しますね。それから、お客さんのことは「お客様」って呼ぶんですよ。でも、部長は「部長」でいいですから。
ブラウン:わかりました。じゃあ、私も自分の席に、いらっしゃいますね。
田中:……ブラウンさん、それは、自分には使えないんですよ。
