桃太郎(三の一)
桃太郎はずんずん行きますと、大きな山の上に来ました。すると、草むらの中から、「ワン、ワン。」と声をかけながら、犬が一ぴきかけて来ました。
桃太郎がふり返ると、犬はていねいに、おじぎをして、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どちらへおいでになります。」
とたずねました。
「鬼が島へ、鬼せいばつに行くのだ。」
「お腰に下げたものは、何でございます。」
「日本一のきびだんごさ。」
「一つ下さい、お供しましょう。」
「よし、よし、やるから、ついて来い。」
犬はきびだんごを一つもらって、桃太郎のあとから、ついて行きました。
山を下りてしばらく行くと、こんどは森の中にはいりました。すると木の上から、「キャッ、キャッ。」とさけびながら、猿が一ぴき、かけ下りて来ました。
桃太郎がふり返ると、猿はていねいに、おじぎをして、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どちらへおいでになります。」
とたずねました。
「鬼が島へ鬼せいばつに行くのだ。」
「お腰に下げたものは、何でございます。」
「日本一のきびだんごさ。」
「一つ下さい、お供しましょう。」
「よし、よし、やるから、ついて来い。」
猿もきびだんごを一つもらって、あとからついて行きました。
山を下りて、森をぬけて、こんどはひろい野原へ出ました。すると空の上で、「ケン、ケン。」と鳴く声がして、きじが一羽とんで来ました。
桃太郎がふり返ると、きじはていねいに、おじぎをして、
「桃太郎さん、桃太郎さん、どちらへおいでになります。」
とたずねました。
「鬼が島へ鬼せいばつに行くのだ。」
「お腰に下げたものは、何でございます。」
「日本一のきびだんごさ。」
「一つ下さい、お供しましょう。」
「よし、よし、やるから、ついて来い。」
きじもきびだんごを一つもらって、桃太郎のあとからついて行きました。
