四国から九州にかけて
四国から九州にかけて、自転車で走る人が少しずつ増えている。 橋と船をうまくつなげば、車がなくても海を越えられるからだ。
出発によいのは、四月から五月にかけての時期だ。 まだ暑くならず、風も強くない。 夏になると、昼の二時から四時にかけては日差しが厳しく、走るというより耐えることになる。
一日目は、瀬戸内の島を渡る。 朝から昼にかけて、橋を三つ越える。 海の色が、島の東側から西側にかけて少しずつ変わっていくのが、自転車ぐらいの速さだとよく分かる。
二日目は、四国の南へ向かう。 この辺りは、海沿いから山にかけて坂が続く。 地図の上では短いのに、時間はその倍かかる。 それでも、夕方にかけて風の向きが変わり、後ろから押してくれることもある。
三日目、フェリーで九州へ渡る。 船の上から、来た道を見る。 あの岬からあの岬にかけて、全部自分の足で走ったのだと思うと、少し不思議な気持ちになる。
宿は早めに取っておきたい。 連休にかけては、どこもすぐに埋まってしまう。 逆に、九月の終わりから十月にかけては、宿も道も静かだ。
長い旅に見えるが、走っているのは毎日五、六時間だけだ。 残りの時間は、ただ海を見ている。 その時間のために、みんなこの道を選ぶ。
