心臓のない五億年
水族館の暗い部屋で、クラゲはゆっくり上がったり下がったりしています。 丸い傘のような体を閉じて、開いて、また閉じる。 そうやって水を後ろに押して、前に進みます。 骨もひれもありませんが、これでちゃんと泳げます。
クラゲの体の九十五パーセント以上は水です。 心臓もありませんし、脳もありません。 それなのに、クラゲは五億年以上前から海にいます。 魚が生まれるより前からです。
食べ方も面白いです。 傘の下から、細くて長い糸のようなものが何本も出ています。 これは触手と言います。 触手には小さな毒があって、そばを通った小さな生き物を捕まえます。 捕まえたえさは、傘の真ん中にある口へ運びます。 目はありませんが、体の周りで光や水の動きを感じることができます。
光るクラゲもいます。 オワンクラゲという種類は、体の中で作った物質で緑色に光ります。 この光る仕組みを研究した日本人が、ノーベル賞をもらいました。
水槽の前に立ったら、少しの間、動かないで見てみてください。 脳も心臓もない体が、五億年の間ずっと続けてきた動きです。
