車ごと海を渡る
橋が増えた今でも、瀬戸内海には、船で渡ったほうが早い島がたくさんある。 カーフェリーは、人だけでなく車もそのまま運んでくれる船だ。
乗船手続きは意外と簡単だ。 港のターミナルの窓口で、行き先と車の長さを伝える。 料金は車の長さで決まる仕組みで、五メートル未満かどうかで大きく変わる。 運転手一人分は車の料金に含まれていることが多いが、一緒に乗る人の分は別に買う必要がある。
車を船に入れるときは、係員の手の合図に従ってゆっくり進む。 甲板に停めたら、サイドブレーキを引き、窓を少し開けて車を降りる。 船が動いている間は車のところに戻れないので、飲み物や上着は先に持って出たほうがいい。
客室にはいくつかの種類がある。 一番安いのは二等席で、広い部屋の床にじゅうたんが敷いてあるだけだ。 乗客はそこに寝転がり、貸してもらった枕で眠る。 個室もあるが、二時間ほどの航路なら、二等席で十分だろう。
そして、船の旅で一番いいのはデッキだ。 島と島の間を抜けるとき、手が届きそうなほど近くに、みかん畑と小さな港が見える。 橋を車で走れば十分で着く距離を、船は一時間かけて進む。 その一時間の分だけ、島が近くなる。
