曜日を知っている
中野の裏通りに、小さな弁当屋がある。 店の横がゴミを出す場所で、店主は毎週火曜と金曜の朝、そこの掃除をしている。
問題はカラスだった。 黄色い網をかけても、朝には必ず端がめくられていて、袋に穴が開いている。
「重石を四つも置いたんだけどね」と店主が言った。
配達の運転手は、荷物を下ろしながら笑った。 「うちのコースにもいますよ。火曜と金曜だけ、あの電柱に並んでるんです」
「曜日が分かるのか」
「分かるみたいですね。トラックの音も覚えてます。俺の車が来ると、みんな一回飛ぶんですよ」
その日の午後、店主は新しい網を買ってきた。 前より重くて、端に長いひもがついている。 二人でゴミ置き場の四つの角にひもを結んで、上から重石をのせた。 電柱の上では、カラスが一羽、じっと下を見ていた。
次の朝、店主が七時に外に出ると、網の一つの角だけがきれいにめくれていた。 中の袋は開いていて、地面にとりの骨が一本落ちていた。
昼に運転手が来たとき、店主はその話をした。 運転手はしばらく笑ってから言った。
「あいつ、昨日ずっと見てましたからね」
