赤い玉(二の二)
「いいえ、わたくしはこの牛に、百姓たちの食べ物を積んで引いて行くだけで、けっして殺して食べるのではありません。」
といいました。 けれども王子はうそだといって、なかなか聴いてくれませんので、百姓はしかたなしに、もらった赤い玉を出して、王子にやって、やっと放してもらいました。
王子がその玉をうちへ持って帰って、床の間に飾っておきますと、その晩、赤い玉が急に一人の美しい娘になりました。 王子はその娘を自分のお嫁にもらいました。
そのお嫁さんは、毎日いろいろとめずらしいごちそうをこしらえて、王子に食べさせていました。 そのうち王子はだんだんわがままをいうようになって、しまいにはお嫁さんをひどくしかりとばしたりしました。
するとお嫁さんも、とうとうがまんができなくなって、
「わたしはもうこれぎり生まれた国へ帰ってしまいます。 もともとわたしはあなたのような人のお嫁になって、ばかにされるために生まれた女ではないのです。」
