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土の中の七年
七月の終わり、木の多い町では、朝の七時ごろからセミが鳴き始める。 窓を開けると、ラジオの高校野球の放送より、セミの声のほうが大きい。 うるさいと言う人もいるが、この声を聞きながら夏を楽しむ人も多い。
セミは、一生のほとんどを土の中で過ごす。 種類にもよるが、多くのセミは三年から七年、木の根から水を飲みながら、暗い土の中で育つ。 日本の町でよく見られるアブラゼミも、七年近く地面の下にいると言われている。
そして夏のある夜、セミは土から出てくる。 木に登って、背中を割って、新しい体で外に出る。 朝には羽がかたまって、飛べるようになる。
地上に出てからの時間は短い。 一週間から、長くて一か月ほどだ。 その間、オスは木の上で鳴き続ける。 声を聞いたメスが来るのを待っているのだ。 あの大きな声は、短い時間の中で相手を見つけるためのものだ。
八月の終わりになると、道に落ちているセミが増える。 子どもたちはそれを拾って、まだ動くかどうか確かめる。 セミの声をうるさいと思ったときは、その虫が土の中で待った七年を思い出してみるといい。 鳴いていられる時間は、一生の百分の一もないのだ。