引っ越しの日
引っ越しの日、まゆとたけしは朝から荷物を運んでいた。
「たけし、その箱、気をつけて。中に大事なお皿が入ってるから」とまゆが言った。
「大丈夫、大丈夫」
たけしは重い箱を持ち上げた。 でも、階段の途中で足を滑らせて、箱を落としてしまった。 中から、パリンという音がした。
箱を開けると、お皿が二枚割れていた。 まゆの大事なお皿が、たけしに割られてしまったのだ。
「ごめん……」とたけしは小さくなった。
「もう。今度は本当に気をつけてね」
次の箱を運ぶとき、たけしはゆっくり、ゆっくり歩いた。 今度は落とさなかった。
ところが、その時、後ろから来たまゆが、たけしにぶつかった。 まゆが持っていた箱が、床に落ちた。
その箱の中には、たけしのコーヒーカップが入っていた。 カップは、まゆに落とされて、割れてしまった。
「……お互いさまだね」とまゆが言った。
二人は、割れた食器を静かに片付けた。
