今晩八時
(金曜日の午後四時。)
坂本:はい、修理センター、坂本でございます。
石川:あの、洗濯機が故障したみたいなんです。洗っている途中で止まってしまって。
坂本:今、どのような状態でしょうか。
石川:赤いランプがついていて、中に水が入ったまま、ドアが開かないんです。
坂本:コンセントを一度抜いて、十分ほど待っていただければ、直ることもございます。
石川:もうやりました。三回もやりました。
坂本:かしこまりました。では、係の者が伺って拝見いたします。一番早いのは、日曜日の午前十時ですが……。
石川:日曜日……。それでは困るんです。あしたのお昼、夫の両親を招待していて、二人はうちに泊まるんです。二人のシーツを今日中に洗わなければならないのに、それが今、洗濯機の中にあって……。
坂本:そうでしたか。少々お待ちください。
(電話から音楽が聞こえる。)
坂本:お待たせいたしました。今晩八時でしたら伺えます。ただ、出張料三千三百円のほかに、夜間料金が五千五百円かかります。
石川:五千五百円……。もし今晩直らなければ?
坂本:部品が必要なら、日曜日にもう一度伺います。ですが、ドアを開けて中の物を出すことは、今晩できます。
石川:……八時にお願いします。
坂本:かしこまりました。では今晩八時、出張料と夜間料金で、合わせて八千八百円です。修理代は、拝見してからのご案内になります。よろしいでしょうか。
石川:はい。住所は、横浜市港北区日吉の……。
