健康診断での再会
今年で四十歳になる。 会社から「一度、健康診断を受けなさい」と言われて、駅前のクリニックに来た。 検査には血液検査も含まれていて、正直、少し気が重かった。
受付で名前を書いていたところで、後ろから声をかけられた。
「もしかして、直樹?」
振り返ると、見覚えのある顔があった。 高校のときの同級生だ。 二十年以上、会っていない。
「うわ、久しぶり。こんなところで会うとは」と私は言った。 彼も、健康診断に来たらしい。
二人で、待合室のソファに座った。 話は、すぐに昔のことになった。 彼は、あの頃、体が弱くて、よく学校を休んでいた。 それにしては、今はずいぶん元気そうだ。 元気どころか、毎朝走っているという。
「お前、昔は運動が苦手だったのに」と私が言うと、彼は笑った。
「四十を過ぎたら、健康が一番の目的になってさ。」
考えてみれば、私がここに来たのも、同じ理由だ。 仕事のためというより、これから先の自分のためだ。
名前を呼ばれて、私たちは立ち上がった。 検査が終わったあと、結局、二人で近くの喫茶店に行くことになった。
思いがけない出会いだった。 健康診断が、こんなに楽しみになるとは思わなかった。
