六巻から十巻まで
だいすけは五冊の漫画をカウンターに置いた。 「返却です。二日で全部読んでしまいました。」
「早いですね」と店員の女性が笑った。
「あの、この続き、ありますか。六巻から借りたいんですが。」
店員は棚を確認しに行って、すぐに戻ってきた。 「すみません、六巻から十巻まで、全部貸し出し中なんです。」
だいすけは困った。 明日から仕事なので、次に来られるのは週末かもしれない。 「じゃあ、水曜日ぐらいには返ってきますか。」
「たぶん。取っておきましょうか。」
「お願いします。」
「あと、待っている間に読める作品を紹介しますね」と言って、店員は別の漫画を持ってきた。 「同じ作者のです。読んだことがありますか。」
「ないです。じゃあ、それを借ります。」
だいすけがお金を払っていると、店員が小さい声で言った。 「あの、実は、六巻から十巻を借りているの、私なんです。今日中に読まなければならないので、明日、必ず持ってきますね。」
