浦島太郎(二の一)
まもなく、かめはまた出てきて、
「さあ、こちらへ」
と、浦島を御殿のなかへ案内しました。 たいや、ひらめやかれいや、いろいろのおさかなが、ものめずらしそうな目で見ているなかをとおって、はいって行きますと、乙姫さまがおおぜいの腰元をつれて、お迎えに出てきました。 やがて乙姫さまについて、浦島はずんずん奥へとおって行きました。 めのうの天井にさんごの柱、廊下にはるりがしきつめてありました。 こわごわその上をあるいて行きますと、どこからともなくいいにおいがして、たのしい楽の音がきこえてきました。
やがて、水晶の壁に、いろいろの宝石をちりばめた大広間にとおりますと、
「浦島さん、ようこそおいでくださいました。先日はかめのいのちをお助けくださいまして、まことにありがとうございます。なんにもおもてなしはございませんが、どうぞゆっくりおあそびくださいまし」
と、乙姫さまはいって、ていねいにおじぎしました。 やがて、たいをかしらに、かつおだの、ふぐだの、えびだの、たこだの、大小いろいろのおさかなが、めずらしいごちそうを山とはこんできて、にぎやかなお酒盛がはじまりました。 きれいな腰元たちは、歌をうたったり踊りをおどったりしました。 浦島はただもう夢のなかで夢を見ているようでした。
ごちそうがすむと、浦島はまた乙姫さまの案内で、御殿のなかをのこらず見せてもらいました。 どのおへやも、どのおへやも、めずらしい宝石でかざり立ててありますからそのうつくしさは、とても口やことばではいえないくらいでした。
