何も考えないように
そうた:先生、本日はご指導いただき、ありがとうございます。
先生:そうたくん、まだ何も始めてないよ。
そうた:失礼しました。まず、筆の持ち方を教えていただきたく存じます。
先生:普通に「教えてください」でいいよ。ほら、筆はもっと立てて。
そうた:はい。こうでしょうか。
先生:手に力が入りすぎ。字を書くときは、肩の力を抜かなければならない。
そうた:肩の力を抜くよう、努力申し上げます。
先生:「申し上げます」は、そこでは使わないなあ。
そうた:申し訳ございません。
先生:それは合ってる。
(そうたが墨をつけて、大きく「山」と書いた。)
先生:あ、いいね。今のはきれいだ。
そうた:ありがとうございます。今、何も考えていませんでした。
先生:そう、それだよ。字を書くときは、考えすぎないほうがいい。
そうた:では、これからは何も考えないようにさせていただきます。
先生:……そうたくん、少しは考えて。
