待つという知恵
その冬は、いつもより寒かった。 森の木はすっかり葉を落とし、雪が何日も降り続けた。
若いキツネは、食べ物を見つけられずにいた。 川は凍り、野ネズミも土の中に隠れてしまった。 お腹をすかせたキツネは、森で一番賢いフクロウの木を訪ねた。 キツネは、その年老いたフクロウを、心から尊敬していた。
「フクロウさん、どうすればいいのでしょうか。もう三日も、何も食べていないんです。」
フクロウは、ゆっくりと目を開けた。 「急いで探しても、見つからないよ。冬の食べ物は、隠れているものだ。焦らずに、風の匂いをよく嗅いでごらん。」
「風の匂い、ですか。」 キツネには、よく分からなかった。
「昔、わたしも若いころは、お前と同じだった。一日中走り回っているのに、何も捕れなかった。ある年の冬、年老いた一羽のフクロウが、わたしに教えてくださったのだ。『動かずに待つことも、一つの知恵だ』とね。」
キツネは、雪の上でじっと待ってみた。 すると、雪の下から、かすかな音が聞こえた。 野ネズミが、雪の中を動いている音だった。 キツネは、そっとその場所を掘って、やっと一匹のネズミを捕まえることができた。
春になったら、フクロウにお礼を言おう。 キツネはそう思っていた。 しかし、春が来たとき、フクロウの木は、もう空っぽだった。
キツネは、フクロウがくれた知恵を、今も忘れていない。 そして、いつか自分も年をとったら、若い誰かに、同じことを教えるのだろう。
