入り口の銀色の箱
日本のマンションの入り口には、たいてい銀色の箱が並んでいる。 宅配ボックスだ。 留守のときに荷物を受け取ってくれる、小さなロッカーである。 今では、新しいマンションのほとんどに付いている。
使い方は難しくない。 配達の人は、部屋に人がいないと分かると、空いている箱に荷物を入れて、鍵をかける。 そして、部屋のポストに紙を入れていく。 紙には、箱の番号と暗証番号が書いてある。 住んでいる人は、帰ってきたときにその番号を押すだけでいい。 エレベーターに乗る前に、三十秒で終わる。
一番大きく変わったのは、時間を気にしなくなったことだ。 昔は「十四時から十六時」と時間を決めて、その二時間、家で待たなければならなかった。 今は、仕事から帰った夜十一時でも受け取れるようになった。 再配達を頼む回数も、ずいぶん減ったと言われている。
もちろん、入らない物もある。 冷たい物や凍った物は入れられない。 大きすぎる家具も無理だ。 はんこやサインが必要な書類も、箱には預けられない。 そして一番多いのは、箱が全部使われていて入らない場合だろう。 土曜日の午前中などは、よく満員になる。
宅配ボックスがないマンションでは、最近「置き配」を選ぶ人も増えた。 ドアの前に置いてもらう方法だ。 ただし、雨の日や、人がよく通る場所には、あまり向いていない。
そして、忘れてはいけないのが期限である。 多くのマンションでは、荷物を入れたまま二日か三日置いておくと、配達の会社に戻されてしまう。 旅行に行っている間に届いた荷物が、帰ってきたらもうない、ということが起きる。
一番多い失敗は、ポストのあの紙をなくすことだ。 番号が分からなければ、自分の荷物なのに開けられない。 管理人がいる時間まで待つしかなくなる。 だから、あの小さな紙は、荷物より先に大事にしたほうがいい。
