よだかの星(六)
「お前はよだかだな。なるほど、ずいぶんつらかろう。今夜そらを飛んで、星にそうたのんでごらん。お前はひるの鳥ではないのだからな。」
夜だかはおじぎを一つしたと思いましたが、急にぐらぐらしてとうとう野原の草の上に落ちてしまいました。 そしてまるで夢を見ているようでした。 からだがずうっと赤や黄の星のあいだをのぼって行ったり、どこまでも風に飛ばされたり、又鷹が来てからだをつかんだりしたようでした。
つめたいものがにわかに顔に落ちました。 よだかは眼をひらきました。 一本の若いすすきの葉から露がしたたったのでした。 もうすっかり夜になって、空は青ぐろく、一面の星がまたたいていました。 よだかはそらへ飛びあがりました。 今夜も山やけの火はまっかです。 よだかはその火のかすかな照りと、つめたいほしあかりの中をとびめぐりました。 それからもう一ぺん飛びめぐりました。 そして思い切って西のそらのあの美しいオリオンの星の方に、まっすぐに飛びながら叫びました。
「お星さん。西の青じろいお星さん。どうか私をあなたのところへ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。」
オリオンは勇ましい歌をつづけながらよだかなどはてんで相手にしませんでした。 よだかは泣きそうになって、よろよろと落ちて、それからやっとふみとまって、もう一ぺんとびめぐりました。 それから、南の大犬座の方へまっすぐに飛びながら叫びました。
「お星さん。南の青いお星さん。どうか私をあなたの所へつれてって下さい。やけて死んでもかまいません。」
