坂は橋の手前だけ
海の上を自転車で走る。 そう聞くと、体力に自信のない人は最初からあきらめてしまう。 けれど、島と島を橋で結ぶこの道は、実は初心者のために作られたようなコースだ。
まず、自転車は借りればいい。 出発地点のターミナルにレンタサイクルの窓口があり、料金は一日二千円ほど。 スタッフに「初めてです」と伝えると、ギアの使い方から返し方まで教えてくれる。 途中のどの営業所で返してもいいので、疲れたらそこでやめられる。 これが一番の安心だ。
坂を心配する人は多いが、上るのは橋の手前だけだ。 自転車は車と同じ道を通らず、ぐるぐると回る専用の坂を上って橋の高さまで行く。 その代わり、渡り終えたあとは同じ分だけ下る。 上りは「ごほうびの前の三分」だと思えばいい。
休憩できる場所も多い。 港のそばの食堂、みかんのアイスを売る小さな店、木の下のベンチ。 地元の人が置いてくれた空気入れがある所もある。
そして、期待していいのは二つ目の橋の上だ。 足元にはっきりと潮の流れが見え、その上を小さな船が通っていく。 聞こえるのは風の音だけになる。
一日で全部走らなくていい。 島に一泊して、朝の海の上をもう一度走る。 そのほうが、この道はずっといい。
