給食より怖いもの
坂本先生:吉田先生、少しよろしいですか。二年三組の児童のことで。
吉田先生:はい、アレルギーの件ですね。
坂本先生:ええ。保護者の方から診断書をいただきました。卵の重いアレルギーで、給食は除去食で対応します。
吉田先生:献立表はもういただいています。
坂本先生:それと、こちらを教室に置いておいていただきたいんです。
吉田先生:……エピペン、ですか。
坂本先生:はい。万が一、アナフィラキシーが起きた場合、迷わず打っていただかなければなりません。使い方は、来週の職員会議で全員に説明します。
吉田先生:正直に言うと、少し怖いです。
坂本先生:怖いと思われるのは当然です。ただ、打たずに様子を見るほうが、ずっと危険なんです。打ってから救急車を呼んでください。
吉田先生:分かりました。……先生、給食のほかには、何をいちばん気をつければいいでしょうか。
坂本先生:給食は、献立も調理室も、こちらで管理できます。危ないのは、その外です。
吉田先生:その外、というと。
坂本先生:調理実習、遠足のおやつ交換、それから、誕生日にクッキーを持ってくる子。
吉田先生:……ああ。
坂本先生:渡す子は、悪気があるわけではありません。むしろ、仲がいいから渡すんです。だからこそ、先生に見ていていただきたくて。
吉田先生:教室に戻ったら、まず席の近い子から話しておきます。
坂本先生:お願いします。何かあれば、昼休みでも呼んでください。走って行きますから。
