一寸法師(三の二)
ときびしくおしかりになりました。 するとこのおかあさんは、少しいじの悪い人だったものですから、お姫さまのために自分がしかられたのを大そうくやしがりました。 そしてくやしまぎれに、ありもしないことをいろいろとこしらえて、お姫さまが平生大臣のお娘に似合わず、行儀の悪いことをさんざんに並べて、「いくら止めても、ばかにしていうことをちっとも聴かないのです。」とおいいつけになりました。
宰相殿はなおなおおおこりになって、一寸法師にいいつけて、お姫さまをお屋敷から追い出して、どこか遠い所へ捨てさせました。
一寸法師はとんだことをいい出して、お姫さまが追い出されるようになったので、すっかり気の毒になってしまいました。 そこでどこまでもお姫さまのお供をして行くつもりで、まず難波のおとうさんのうちへお連れしようと思って、鳥羽から舟に乗りました。 すると間もなく、ひどいしけになって、舟はずんずん川を下って海の方へ流されました。 それから風のまにまに吹き流されて、とうとう三日三晩波の上で暮らして、四日めに一つの島に着きました。
その島には今まで話に聞いたこともないようなふしぎな花や木がたくさんあって、いったい人が住んでいるのかいないのか、いっこうに人らしいものの姿は見えませんでした。
一寸法師はお姫さまを連れて島に上がって、きょろきょろしながら歩いて行きますと、いつどこから出てきたともなく、二匹の鬼がそこへひょっこり飛び出してきました。 そしていきなりお姫さまにとびかかって、ただ一口に食べようとしました。 お姫さまはびっくりして、気が遠くなってしまいました。 それを見ると、一寸法師は、例のぬい針の刀をきらりと引き抜いて、ぴょこんと鬼の前へ飛んで出ました。
