線の上
たける:よし、十点先に取ったほうが勝ちな。
ふうか:え、練習でしょ。なんで競争なの。
たける:競争したら、早くうまくなるんだよ。おれはネットの前でボールを出すから、ふうかは後ろから打って。
ふうか:えいっ。
たける:あー、ラケットが遅い。ヒントな。もっと早く後ろに引いたら、強く打てるよ。
ふうか:ヒントはいらないって、さっきも言ったじゃん。
(三十分後。)
たける:九対九。次で終わりだぞ。ヒント、ボールをよく見て。
ふうか:だから、いらないって!
(ふうかが打ったボールは、たけるの横を通って、後ろの線のほうへ飛んでいった。)
たける:アウト!
ふうか:うそ、入ったよ!線の上だった。
たける:外だよ。
(ふうかは走っていって、後ろの線を靴で踏んだ。)
ふうか:ここ!ここに落ちた。線の上はインでしょ。
たける:線の上ならインだよ。でも、ボールはもっと外だった。
ふうか:お兄ちゃん、ずっとネットの前にいたじゃん。
たける:振り返って見たよ。
ふうか:わたしの十点目。わたしの勝ち。
たける:まだ九対九だ。
ふうか:じゃあ聞くけど、ネットの前から、後ろの線が本当に見えたの?
