三百杯のレモネード
放課後の教室で、財前とゆまは文化祭の店の注文を決めていた。 売るのはレモネードだ。
「全校生徒が一杯ずつ飲むとして、三百杯だね」と財前が言った。
「一杯二百ミリリットルなら、全部で六十リットル」とゆまが答えた。
「シロップは一リットルの容器で届けてくれるって。十二個だから、ちょうど一ダースだ」
ゆまは指を折って数えた。 「レモンは一個から八切れ取れるでしょ。一杯に一切れ入れるなら、三百切れ。四十個いるよ」
「レモンは一パック十個入りだから、四パック」と財前が言った。 「炭酸水は缶が安いから、三百缶」
「三百缶?」とゆまが尋ねた。 「うちの店、机が一つしかないよ。前の日の支度も、二人でやるんだよ」
「意見があるなら、早く言ってよ」
二人はしばらく黙った。 財前が顔を上げた。 「コップは、何個ある?」
「去年の残りが一パック。五十個」
珍しく、財前が何も言わなかった。 外はもう日が暮れていた。
「じゃあ、五十杯だね」とゆまが言った。 「レモンは七個で済むよ」
