古い道具箱
祖父のまもるさんは、縁側で古い道具箱を整理していた。 僕、ゆうすけは、その隣に座って見ていた。
「おっ、懐かしいな。これ、まだあったのか。」 まもるさんは、古い金づちを手に取った。 「これはな、じいちゃんが二十歳の頃に買った金づちだ。」
「そんなに古いの?」
「ああ。昔はな、道具に対する気持ちが、今とは全然違ったんだよ。一つの道具を、一生使ったもんだ。」 まもるさんは、布で丁寧に金づちを拭いた。
「こっちの古いのこぎりはな、じいちゃんの父さんが使っていたやつだ。もう百年近く前のものだな。」 まもるさんは、少し遠い目をした。 「物を大事にするっていうのは、その物と過ごした時間を大事にするってことなんだよ。」
「この箱の中の道具で、家の棚も、お前の机も作ったんだぞ。」
「え、この机、じいちゃんが作ったの?」
「そうだよ。……あれ、机を作ったのは、お前が生まれる前だったっけ。いや、小学校に入った年だったかな。まあ、どっちでもいいや。」 まもるさんは笑った。
僕は、その机で十年以上勉強してきた。 古い道具箱の中には、非常に多くの、僕の知らない祖父の時間が詰まっているようだった。
「よし、これは、お前にやるよ。」 まもるさんは、小さな古いナイフを僕に渡した。 「大事に使えよ。」
