瘤とり(一の二)
鬼どもはやがて、おじいさんの居るうろの前まで来ますと、がやがやいいながら、みんなそこに立ち止まってしまいました。
おじいさんは、「おやおや。」と思いながら、いよいよ小さくなっていますと、そのうちのおかしららしいのが、真ん中に座って、その右と左へ外の鬼たちがずらりと二かわに並びました。 よく見ると目の一つしかないのや、口のまるでないのや、鼻の欠けたのや、それはそれは何ともいえない気味の悪い顔をした、いろいろな化け物が押しくらをしておりました。
そのうちお酒が出ますと、みんなお互いに土器のお杯をうけたり、さしたり、まるで人間のするとおりの、楽しそうなお酒盛りがはじまりました。
お杯の数がだんだん重なるうちに、おかしららしい鬼は、だれよりもよけいに酔って、さもおもしろそうに笑いくずれていました。 すると下座の方から、一人の若い鬼が立ってきて、お三方の上に食べ物をのせて、おそるおそるおかしらの鬼の前へ持って出ました。 そして何かわけの分からないことをしきりにいっているようです。 おかしらの鬼もお杯を左の手に持って、おもしろそうに笑いながら聞いています。 その様子は少しも人間と違ったところはありません。
やがておかしらは、「さあだれか歌を歌う者はないか。踊りを踊る者はないか。」といって、そこらを見回しました。
やがておかしらのそばに座っていた鬼が、出し抜けに大きな声で歌を歌い出しました。
するとさっきの若い鬼も、すその方から前へ飛び出してきて、さんざん踊りを踊って引っ込みました。 それから代わる代わる下座の方から、一人一人違った鬼が立ってきて、同じように踊りを踊りました。 中には上手に踊ってほめられる者もあれば、ぶきような踊り方をして、みんなに笑われる者もありました。
