花咲かじじい(五)
殿さまはびっくりして、
「これはみごとだ。これはふしぎだ」といって、おじいさんをほめて、たくさんにごほうびをくださいました。
するとまた、おとなりの欲ばりおじいさんが、それをきいて、うらやましがって、のこっている灰をかきあつめてざるに入れて、正直おじいさんのまねをして、「花咲かじじい、花咲かじじい、日本一の花咲かじじい、枯れ木に花を咲かせましょう」と、往来をどなってあるきました。
するとこんども、殿さまがとおりかかって、「こないだの花咲かじじいがきたな。また花を咲かせて見せよ」といいました。
欲ばりおじいさんは、とくいらしい顔をしながら、灰を入れたざるをかかえて、さくらの木に上がって、おなじように、「金のさくら、さらさら。銀のさくら、さらさら」ととなえながら、やたらに灰をふりまきましたが、いっこうに花は咲きません。 するうち、どっとひどい風が吹いてきて、灰は遠慮なしに四方八方へ、ばらばら、ばらばらちって、殿さまやご家来の目や鼻のなかへはいりました。 そこでもここでも、目をこするやら、くしゃみをするやら、あたまの毛をはらうやら、たいへんなさわぎになりました。 殿さまはたいそうお腹立ちになって、「にせものの花咲かじじいにちがいない。ふとどきなやつだ」
といって、欲ばりおじいさんを、しばらせてしまいました。 おじいさんは、「ごめんなさい。ごめんなさい」といいましたが、とうとうろう屋へつれて行かれました。
