王さまと靴屋(一)
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。
町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。
王さまは靴屋の店にはいって、「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」とたずねました。
靴屋のじいさんは、そのかたが王さまであるとは知りませんでしたので、「ひとにものをきくなら、もっとていねいにいうものだよ。」と、つっけんどんにいって、とんとんと仕事をしていました。
「これ、名まえはなんと申すぞ。」とまた王さまはたずねました。
「ひとにくちをきくには、もっとていねいにいうものだというのに。」とじいさんはまた、ぶっきらぼうにいって、仕事をしつづけました。
