パン屋の犬
毎朝、ぼくはパン屋に行く。 ぼくは犬のぽちだ。
店の前に立って、中を見る。 パン屋のおじさんが、パンを焼いている。
いい匂いがする。 ぼくは一回、ワンと鳴く。 おじさんは笑って言う。 「おはよう、ぽち」
パンが焼けると、おじさんは棚からパンを一つ取って、数える。 「一つ」。 ぼくはしっぽを振る。
それから、もう一つ取る。 「二つ」。 ぼくは、もっとしっぽを振る。
でも、そのパンはお客さんのだ。 ぼくのじゃない。
お客さんが来て、パンを買っていく。 店の中は、いい匂いでいっぱいだ。
みんなが帰ると、おじさんはドアの横のフックに、余ったパンを掛ける。
「はい、ぽち。これはお前のだ」
ぼくは毎朝、一と二を数える。 でも、ぼくが食べるのは、いつも余りのパン。 それでも、とてもおいしいパンだ。
