鬼六(二)
大工はそれなりうちへ帰って、ゆっくり一寝入りして、あくる日また、何気なしに川へ出てみました。 すると、川の水は一向引いていませんが、まさかと思っていた橋が、半分以上も、みごとにその上にかかっているので、びっくりしました。
「こりゃあじょうだんじゃあないぞ。」
大工は急にこわくなって、そっと両方の目をおさえました。
そこでその明くる日は、朝早くから起きて、また川へ出てみますと、まあどうでしょう、じつにりっぱな橋が、何丈という高さに、水が渦巻き逆巻き流れている大川の上に、もうすっかり出来上がって、びくともしずに、長々とかかっているではありませんか。 大工はこんどこそほんとうに度肝を抜かれて、ただもう目ばかりきょろきょろさせていました。
すると、そのとたん、れいのどことも知れない川のそこから、
「おい、どうした、大工。さあ、目玉をよこせ。」
といいながら、鬼が出て来たので、「ひゃあ。」と一声、すっかり青くなって、ぶるぶるふるえ出してしまいました。
「ああ、ごめんなさい、すぐは困る。しばらくお待ち下さい。」
大工は泣くようにいって、あわててそこを逃げ出しました。
