お皿は空で返さない
夏になると、玄関のチャイムが鳴ります。 隣の家の方が、大きな袋を持って立っています。 中はきゅうりです。 二十本くらい入っています。
「うちの畑で採れすぎちゃって」
これを「お裾分け」と言います。 旬のものがたくさんできた時、近所や友達に分けるんです。 畑で野菜を作っていらっしゃる方は、一人では食べられないくらい採れることがあります。 だから、隣に持っていきます。
野菜をいただいた人は、もちろんお礼を言います。 でも、それで終わりではありません。
大切なのは、お皿や入れ物を返す時です。 空のまま返してはいけない、と言われています。 作ったお菓子を入れたり、旅行のおみやげを入れたりして返すんです。 少しでいいんです。
すると今度は、隣の家がまたお礼をしたくなります。 そして、何かをくれます。
つまり、お裾分けは一回で終わらないんです。 きゅうり二十本から始まって、その後ずっと続いていきます。 だから、夏になっても、冬になっても、玄関のチャイムが鳴るんです。
