駅の近くか、本の場所か
まさきとなおこは、来月、引っ越すことにした。 二人は、二つのアパートで迷っていた。
一つ目は、駅の近くのアパート。 新しくて、きれいだ。 でも、家賃が高い。 もう一つは、駅から歩いて十五分のアパート。 少し古いが、部屋が広くて、家賃が安い。
土曜日の夜、二人は台所のテーブルで、二つのアパートを比べた。
「駅の近くのアパートは、便利だよね」とまさきが言った。 「毎朝、電車に間に合うように、早く起きなくてもいい。」
「そうね。でも、家賃が高いでしょう。毎月、二万円も違うのよ」となおこが言った。
「二万円か……。一年で、二十四万円だね。」
「そう。それに、古い方は、部屋が広いの。あなたの本も、全部置けるわ。」
まさきは、たくさんの本を持っている。 新しいアパートには、本棚を置く場所が中々なかった。
「確かに、本は大事だなあ」とまさきは言った。
「でしょう?それに、駅まで歩いたら、いい運動になるわよ。」
「なるほど。健康にもいいか。」
二人は、しばらく考えた。 便利さと、広さと、お金。 最も大事なものは、何だろう。
「じゃあ、こうしよう」とまさきが言った。 「古い方にして、その代わり、毎日ちゃんと歩くようにしよう。運動になるし、お金も残る。」
「いいわね。歩くのが嫌になったら、自転車を買えばいいし。」
二人は、笑った。 決めたら、なんだか気持ちが軽くなった。 来月から、少し遠いけれど、広くて静かな部屋での新しい生活が始まる。
