月曜と火曜
(金曜日の夜、翔太のスマホにメッセージが届いた)
麻衣:翔太くん、まだ起きてる? 月曜の資料、もうできてる?
翔太:資料って、田中商事の見積もりのですよね
麻衣:そう。三十部
翔太:え、月曜ですか。田中商事の打ち合わせ、火曜だと思ってました
麻衣:火曜? 月曜の十時だよ。カレンダーに入ってるでしょ
翔太:入ってます。でも僕のには火曜の十四時って書いてあります
麻衣:うそ。ちょっと待って
(三分ほど、返事が来なかった)
麻衣:私のには月曜の十時って書いてある。ほんとに火曜?
翔太:はい。今、スクリーンショット送りますね
麻衣:……送られてきたやつ、場所が先方の会社になってる
翔太:はい、向こうに行くやつです。品川まで一時間かかるので、十二時半に出ようと思ってました
麻衣:品川? 私のは第二会議室だよ。十時から一時間、部長も出るやつ
翔太:部長、火曜も来ますよね
麻衣:来る
翔太:……あ
麻衣:……あ
翔太:もしかして、二つあるんじゃないですか
麻衣:ある。今、部長のカレンダー見た。月曜が社内の準備、火曜が先方への訪問
翔太:先月、日程が変わったときに、二つに分かれたんだと思います
麻衣:そうだ。あの時、私が両方入れたんだった。自分で入れて、自分で忘れてた
翔太:じゃあ、どっちも合ってたんですね
麻衣:合ってた。十分、本気で焦った。翔太くんが間違えたと思って、怒る文章まで考えてた
翔太:送らなくてよかったです
麻衣:ほんとに
翔太:ところで、資料はいつまでにいりますか
麻衣:月曜の朝までに社内用。訪問用は火曜の朝でいい
翔太:……つまり、二種類作るってことですよね
麻衣:そういうことになるね
翔太:やっぱり、焦っておいたほうがよかったです
麻衣:じゃあ、月曜の朝までに一緒に焦ろう
