桃太郎(二の一)
おじいさんとおばあさんは、それはそれはだいじにして桃太郎を育てました。桃太郎はだんだん成長するにつれて、あたりまえの子供にくらべては、ずっと体も大きいし、力がばかに強くって、すもうをとっても近所の村じゅうで、かなうものは一人もないくらいでしたが、そのくせ気だてはごくやさしくって、おじいさんとおばあさんによく孝行をしました。
桃太郎は十五になりました。
もうそのじぶんには、日本の国中で、桃太郎ほど強いものはないようになりました。桃太郎はどこか外国へ出かけて、腕いっぱい、力だめしをしてみたくなりました。
するとそのころ、ほうぼう外国の島々をめぐって帰って来た人があって、いろいろめずらしい、ふしぎなお話をした末に、
「もう何年も何年も船をこいで行くと、遠い遠い海のはてに、鬼が島という所がある。悪い鬼どもが、いかめしいくろがねのお城の中に住んで、ほうぼうの国からかすめ取った貴い宝物を守っている。」
と言いました。
桃太郎はこの話をきくと、その鬼が島へ行ってみたくって、もう居ても立ってもいられなくなりました。そこでうちへ帰るとさっそく、おじいさんの前へ出て、
「どうぞ、わたくしにしばらくおひまを下さい。」
と言いました。
おじいさんはびっくりして、
「お前どこへ行くのだ。」
と聞きました。
「鬼が島へ鬼せいばつに行こうと思います。」
と桃太郎はこたえました。
