黒猫を探して(二)
二人は階段を下りて、公園へ歩いた。
公園には子どもが三人いた。 大きい犬もいた。 でも、黒い猫はいなかった。
ゆいとけんはベンチに座った。 もう十二時だった。 お腹も空いた。
ゆいが自動販売機でジュースを買った。 二人で半分ずつ飲んだ。
「一回、家に帰ろうか」とけんが言った。
ゆいは何も言わなかった。 あの猫はいつも家の中にいる。 外の道を知らない。 車も、犬もこわい。
そのとき、「ニャー」という小さい声が聞こえた。
二人は立った。 「今の、聞いた?」とゆいが言った。
「聞いた」とけんが言った。
二人はベンチの下を見た。 何もなかった。
声はもう一度聞こえた。 木の下に、古い箱があった。 けんはゆっくり箱の中を見た。
箱の中に、黒い猫がいた。 日が当たって、猫は寝ていた。
「いた!」とけんが大きい声で言った。
猫は目を開けて、小さい声で鳴いた。 ゆいは猫を抱いた。 猫はあたたかかった。 体に草がついていた。
「朝からずっと探したんだよ」とゆいが言った。
二人は猫と一緒に、家まで歩いた。
家に着くと、猫はすぐにご飯を食べた。 それから、また台所の窓の方へ歩いた。
「けん、窓!」とゆいが言った。
けんは走って、窓を閉めた。 「今日はもう、外はだめだよ」
猫はもう聞いていなかった。 ゆいのベッドの上で、また寝ていた。
