今、決めたの
ファミレスの席について、もう二十分がたっていた。 みかは、まだメニューを閉じていない。
「決まった?」とゆうきが聞いた。
「うーん、ハンバーグとか、パスタとか、あとオムライスもいいなあ」とみかはページをめくる。 「でも、今日は魚の気分かもしれない。」
「さっきから、それずっと言ってるよ」とゆうきは笑った。
「だって、どれもおいしそうなんだもん。 ゆうきは?」
「俺はもう決めてる。 からあげ定食。」
「早いなあ。」
「みかが長いんだよ。」
みかは、また最初のページに戻った。 「季節限定のグラタン、頼むつもりだったんだけど、写真見たら、やっぱりカレーもいい気がしてきた……。」
「あのさ」とゆうきは言った。 「もう店員さん呼ぶよ。 呼んだら、さすがに決まるでしょ。」
「ちょっと待って、あと三十秒!」
ゆうきは、かまわずボタンを押した。 すぐに店員さんがやってきた。
「ご注文、お決まりですか。」
みかは、メニューをぱっと閉じて、顔を上げた。 そして、はっきりと言った。 「エビフライ定食、お願いします。」
ゆうきは、思わずふき出した。 「エビフライなんて、さっきから一回も出てこなかったじゃん。」
「今、決めたの」とみかは、すましてお茶を飲んだ。
