方言は消えたのか
日本の面積はそれほど広くないのに、地方によって言葉がかなり違う。 同じ「捨てる」でも、大阪では「ほかす」、名古屋では「ほかる」と言う。 北へ行けば、語尾も発音も変わる。 初めて聞く人には、別の言語のように聞こえることさえある。
そもそも標準語は、昔からあった言葉ではない。 明治時代に、学校や新聞のために、東京の山の手で話されていた言葉をもとにして作られたものだ。 国じゅうの人が同じ言葉で通じ合えるようにするためである。 その後テレビが広まると、標準語はさらに全国に届くようになった。
それなら方言はなくなってしまいそうなものだが、実際にはそうなっていない。 多くの人は、どちらか一方を選んだのではなく、両方を場面で使い分けるようになったからだ。 学校や仕事では標準語、家族や友達とは方言、というように。 つまり、消えたのではなく、方言の役割が変わったのである。
中でも関西の言葉は、独特の強さを持っている。 テレビのお笑い番組で関西弁がよく使われるので、関西以外の人でも意味は分かる。 だから関西出身の人は、東京に来ても言葉を変えないことが多いらしい。
最近は、若い人が方言をわざと使うことも増えている。 SNSに地元の言い方で書いたり、方言のスタンプを送ったり。 自分がどこから来たかを示す特徴として、方言を選んでいるようだ。
方言は、消えかけている古い言葉ではない。 使う場面が変わっただけで、今も生きて動いている。
